おれはまだ独身だし、年齢だって20代だ。
けれども出会い系は人妻掲示板しか使わない。
これには理由がある。
それはおれがこよなく人妻を愛しているからだ。
もう人妻という響きだけでむらむらしてしまう。
しかも守備範囲はかなり広い。
30歳から50歳までだ。
先日は自分の母親よりも年上だという女性と人妻掲示板で知り合った。
「ねえ、いくつだっけ?」 「20歳です」 「そう、うちの息子より若いわ。
びっくり。
まさかね」 「息子さん、おいくつなんですか?」 「息子は23歳。
今年大学を卒業したわ」 「そうですか、あの、失礼ですけどお年伺ってもいいですか?僕もちょっと気になっちゃって」 「いいわよ。
48よ」 うちの母親が45歳で、彼女は48歳だった。
最初は驚いたけれども実際に会ってみると全然若く見えるし生き生きとしていた。
「まさか人妻掲示板であなたみたいに若い子に出会えるなんてびっくりよ。
どうして?」 どうして?が何を指しているのかわからなかったが、僕は自分の家庭について話し始めた。
実は45歳の母親とは子どもの頃に両親が離婚して以来会ったことがなかった。
「だからきっと母親の影を追いかけているのかもしれないです。
もう母親の顔も思い出せないですし」 ちょっと暗い話をしてしまったかな、失敗したなと思って顔を上げたら、彼女は涙を流していた。
「そうなの。
わかった。
それじゃまた会いましょう。
私にお母さんの代わりが勤まるかはわからないけど」 え、別に母親の代わりなんて求めてはいないんですけど。
と思ったが、どう伝えたらいいものかわからないので黙っていた。